multibook の「IFRS第16号 リース資産管理機能」は、こうした新基準に対応し、ローカル基準と連結基準の双方でリース資産を管理できるよう設計されています。基本情報や年度別情報の入力・一括更新、割引率や勘定科目の自動設定、連結修正仕訳の自動生成、リース資産台帳の出力など、多彩な機能を備えています。
はじめに
国際財務報告基準(IFRS)第16号では、短期リースや少額資産のリースを除き、すべてのリース取引について借り手が使用権資産とリース負債を計上することが求められます。従来のオペレーティング・リースとファイナンス・リースの区分は廃止され、貸借対照表のオンバランス化が大きな特徴です。
multibook の「IFRS第16号 リース資産管理機能」は、こうした新基準に対応し、ローカル基準と連結基準の双方でリース資産を管理できるよう設計されています。基本情報や年度別情報の入力・一括更新、割引率や勘定科目の自動設定、連結修正仕訳の自動生成、リース資産台帳の出力など、多彩な機能を備えています。本ガイドでは、主要モジュールの操作手順と注意点をわかりやすく解説します。
主なモジュールと役割
モジュール |
主な役割 |
LECM110 リース資産 基本情報・年度別情報更新 |
リース資産の登録と更新、年度別情報の自動計算、条件変更や解約の登録を行います。 |
LECM120 リース資産 基本情報・年度別情報 Excel Upload |
基本情報・年度別情報を Excel ファイルで一括ダウンロード/アップロードします。 |
LECM220 リース資産勘定カテゴリ |
使用権資産、リース負債、減価償却累計額などの勘定科目をカテゴリー単位でマスター登録します。 |
LECM230 リース資産割引率 |
リース開始年月や期間に応じた割引率を設定し、自動計算に利用します。 |
LECM410 リース資産台帳 |
ローカル基準および連結基準それぞれの使用権資産・リース負債残高を一覧で出力します。 |
LECM510 リース資産連結修正仕訳 |
ローカル基準から連結基準へ移行するための連結修正仕訳を自動集計・出力します。 |
LECM110 リース資産 基本情報・年度別情報更新
機能概要
LECM110 では、リース資産ごとに基本情報(資産番号や設置場所、契約番号など)と年度別情報(各年のリース料、利息、減価償却費、リース負債返済額など)を登録・更新します。更新時には割引率やリース期間をもとに自動計算が行われ、入力作業を大幅に削減できます。ローカル基準と連結基準それぞれの値を保持できるため、単体・連結両方の帳簿管理に対応します。
メニューの起動
マスタ管理メニューのリース資産グループから LECM110 リース資産 基本情報・年度別情報更新 を選択します。以下の画面の赤枠が該当メニューです。
新規登録の流れ
リース資産を新規登録する際の基本的な手順は次の通りです。
- リース資産番号を指定 — 会社コードを選択し、新しいリース資産番号を入力します。同じ資産をコピーして登録する場合は、コピー元の資産番号を指定し「コピー」ボタンを押します。コピー対象項目には資産カテゴリや設置場所、部門・セグメント等のコードが含まれます。
- 基本情報の入力 — 資産番号、設置場所、契約番号、前払区分、前払期間(月)などの基本情報を入力します。前払物件の場合はチェックを付け、前払期間を設定します。入力必須項目は赤いアスタリスクで表示されます。
- 契約条件の設定 — リース開始日・終了予定日、リース期間(月)、月額リース料や税額、リース料総額、割引率、イニシャルコストなどを入力します。開始日や終了日の端数は自動計算ボタンで切り上げ・切り捨てができます。また、特別期間がある場合は月額リース料や期間を別途登録します。
- リース期間と月額リース料の自動計算 — 「自動計算」ボタンを押すと、開始日と終了日からリース期間(月)が算出されます。月途中の開始日は「1ヶ月」、終了日は「0ヶ月」と扱うなどのロジックに基づき計算されます。3ヶ月とみなして計算したい場合は、一時的に終了日を月末に設定して計算し、後で正しい日付に戻すといった応用も可能です。
- 多段階リース料の登録 — リース期間中に月額リース料が段階的に変動する場合は、「リース料設定」画面で開始年月ごとに月額リース料と税額を入力します。行を挿入・削除して期間と金額を設定し、フリーレント(0円)や値引きも登録できます。
- 残価保証や解約情報の登録 — 残価保証額や処分見込額、償却開始年月・終了年月、解約・条件変更日などを入力します。残価保証額は処分見込額以上を設定できません。解約等完了日を設定すると、その日付にリース条件変更日が登録されます。
- 勘定科目の設定 — リース資産勘定カテゴリを選択すると、使用権資産、減価償却累計額、リース負債、リース負債返済相手勘定科目が自動設定されます。カテゴリーの設定には LECM220 で事前登録が必要です。手動で個別に勘定科目を指定することもできます。
- 部門・セグメントなどのコード設定 — 部門やセグメント、プロジェクト(D予備1)、リース会社などの補助コードを入力します。リース負債返済相手勘定科目が債務科目の場合、リース会社コードの指定が必須です。
- 帳票添付 — 契約書や見積書などのファイルをドラッグ&ドロップまたは「ファイル選択」から添付できます。添付後は「確定」で保存します。
- 保存 — すべての入力が完了したら「更新」ボタンで保存します。予備4に値が設定されている場合は、年度別情報の自動更新が行われない点に注意してください。
条件変更・解約の登録
リース条件の変更や途中解約が発生した場合は、もとの資産をコピーして新しいリース資産を登録します。手順は以下の通りです。
- LECM110 の検索画面で対象会社と既存資産番号を指定し、「新規登録」ボタンを押します。レコード種別で「条件変更」または「解約」を選択し、オリジナル資産番号を入力して確定します。
- 登録画面にはオリジナル資産からコピーされた情報が表示されます。新しい契約番号、開始日・終了日、月額リース料、イニシャルコスト、割引率など変更後の情報を入力し、自動計算を実行します。元の資産と同じ月に新規開始日は設定できません。
- 保存すると、エラーチェックが実行されます。主なチェック項目は次の通りです。
- 新条件の開始日と元資産の条件変更日は同一日でないこと。
- リース資産カテゴリは元資産と一致すること(条件変更後のカテゴリは変更不可)。
- 新条件の開始日は元資産の開始日より未来であること。
- 既に条件変更済みのレコードが存在する場合、再変更は不可。
- エラーがなければ、年度別情報が自動更新され(予備4に値が設定されていない場合)、元資産のレコードは自動的に更新フラグが付与されます。
条件変更後の資産は元資産から独立した新規資産として管理されます。元資産を更新したい場合は、必ず条件変更登録を経由してください。
LECM120 リース資産 基本情報・年度別情報 Excel Upload
機能概要
LECM120 は LECM110 と同じ処理を Excel ファイルで一括実行する機能です。ダウンロードしたテンプレートに基本情報と年度別情報を記入し、アップロードすることで複数資産をまとめて登録・更新できます。自動計算やエラーチェックは LECM110 と同じロジックで実行され、条件変更後のオリジナルレコードの自動更新も行われます。
操作手順
- テンプレートのダウンロード — LECM120 画面で会社を指定し、「ダウンロード」ボタンから基本情報・年度別情報のテンプレートを取得します。更新対象の資産番号や未設定分を選択することもできます。Excel にはリース資産番号、基本情報、年度別情報(ローカル/連結)などの項目が含まれます。
- Excel の編集 — ダウンロードしたファイルに資産の情報を入力します。契約条件の変更を登録する場合は、オリジナル資産番号と新しい開始日、月額リース料などを記入してください。1 つの Excel ファイルには、1 つのオリジナルレコードに対して 1 つの新規レコードのみ含めることができます。下図のように、A〜D のような複数の関係レコードを同一ファイルに含めることはできません。
- アップロード — 編集した Excel を画面からアップロードします。アップロード時は、対象モード(既存資産の更新/新規登録)を自動判定します。条件変更レコードを登録すると、オリジナルレコードの解約・条件変更日が自動で設定されます。
- 年度別情報の自動設定 — 画面の「年度別情報自動設定」ボタンを押すと、支払利息、リース負債返済額、減価償却費などが自動計算されます。ローカル基準または連結基準を選択でき、リース資産番号の範囲や未設定分のみを対象にすることも可能です。予備4に値が設定されている資産は自動更新されない点に注意してください。
補足
- LECM120 では LECM110 と同様のチェックに加え、1 つのオリジナルレコードに対して複数の関係レコードを同一 Excel に含めないようチェックが行われます。条件変更後の情報は必ず別ファイルで登録してください。
- イニシャルコストや割引率など、自動計算を行う項目も Excel に記入できます。空欄の場合は自動計算結果が採用されます。
LECM220 リース資産勘定カテゴリ
機能概要
リース資産勘定カテゴリでは、リース資産ごとに使用権資産・減価償却累計額・リース負債・前払金・イニシャルコスト勘定科目などをカテゴリー単位で登録します。LECM110 で資産登録時にカテゴリを指定すると、ここで設定した勘定科目が自動で反映されます。事前にマスターを整備しておくことで、資産ごとに勘定科目を個別指定する手間を削減できます。
操作手順
- メニューの起動 — マスタ管理のリース資産グループから LECM220 リース資産勘定カテゴリ を選択します。以下の図で赤枠が示す位置です。
- Excel でマスター登録 — 画面からマスターを Excel 形式でダウンロードし、カテゴリコード、各会計基準ごとの勘定科目コード、勘定科目名称などを入力します。完了したらアップロードボタンでインポートします。挿入・更新は自動判定されます。
LECM230 リース資産割引率
機能概要
割引率マスターは、リース開始年と期間に応じた割引率を設定する機能です。LECM110 の自動計算時に割引率が空欄の場合、このマスターから該当する利率が自動設定されます。短期リースや少額リース、通常リースなどカテゴリー別の割引率を登録しておくと便利です。
操作のポイント
- 割引率は会社マスタ(MACM110)で設定した「最低基準金額」と「短期最大月数」に基づき、自動的にカテゴリが判定されます。
- LECM230 の画面では、開始年月やリース期間(月)を指定して割引率を登録します。連結基準とローカル基準で別々に設定することも可能です。
- 割引率マスターを更新した後は、既存資産には自動反映されないため、必要に応じて LECM110 で再計算を行ってください。
LECM410 リース資産台帳
機能概要
LECM410 は、リース資産ごとの使用権資産・リース負債残高を台帳形式で出力する機能です。ローカル会計基準と連結会計基準の双方に対応しており、各年度・月ごとの減価償却費やリース負債返済額を確認できます。年度別情報の設定に不整合があるとエラーが表示されるため、事前に LECM110/120 で情報を整えておくことが重要です。
操作手順
- LECM410 の画面で会社コードと出力期間を指定します。ローカル基準と連結基準を選択できるほか、特定の資産番号やカテゴリーで絞り込むことも可能です。
- 実行 ボタンを押すと、Excel ファイルが出力されます。出力ファイルには資産ごとの基本情報と、ローカル基準・連結基準それぞれの残高推移がシート別にまとめられています。支払利息や減価償却費の設定漏れがある場合はエラーが表示され、出力されません。
補足
- 台帳は監査や財務報告の資料として利用します。出力後にセルを編集すると情報の整合性が崩れるおそれがあるため、原則として非編集で印刷・保存することを推奨します。
- 減価償却費の設定がない月が存在する場合などはエラーになるため、年度別情報が正しく登録されているか確認してください。
LECM510 リース資産連結修正仕訳
機能概要
ローカル会計基準に基づくリース処理を、連結会計基準(原則法)へ変換するための連結修正仕訳を自動集計・出力する機能です。指定した期間の月次データを集計し、セグメント別やグループ勘定科目別に結果をまとめることができます。出力は Excel 形式で、各資産番号ごとの検証用明細も含まれます。
集計条件
- 期間 — 期間首月から指定された年月までの金額を集計します。例えば 3 月決算で 9 月を指定すると、4 月から 9 月の6か月分が対象となります。
- 集計単位 — セグメント別に集計された結果が出力されます。
- 勘定科目 — グループ勘定科目に変換したうえで結果を出力します。
- 検証 — 資産番号ごとの計算結果を検証用シートとして出力可能です。
主な連結修正仕訳の例
LECM510 では、Excel ファイルに定義された多数の仕訳パターンをもとに金額を集計します。以下は代表的な仕訳の考え方です。
- 繰延税金の計上 — 使用権資産や減価償却費、リース料などの発生額に対して実効税率を掛けた金額をもとに繰延税金資産・負債を計上します。法人税等調整額も同時に計上されます。
- 使用権資産とリース負債の計上 — リース料の各月の割引現在価値を求め、使用権資産とリース負債を計上します。イニシャルコストがある場合は使用権資産に加算します。
- 使用権資産の減価償却 — 使用権資産取得額をリース期間で均等償却し、減価償却費と減価償却累計額を計上します。
- 支払利息の計上とリース負債の増額 — 各月のリース負債残高に割引率を掛けて支払利息を計上し、リース負債を増額します。期末には残価保証評価差額の仕訳も生成されます。
- 単体で計上したリース料の取消し — ローカル基準で計上した賃借料や前払費用は、連結修正仕訳で相殺消去します。複数月前払や特別期間のある契約については、月毎の利息や返済額に応じた仕訳が追加されます。
Excel ファイル「リース連結修正仕訳一覧」には、契約形態や処理方法ごとに用意された仕訳パターンが一覧化されています。自社の契約内容に応じて該当する仕訳タイプを確認してください。
仕訳パターン一覧ファイルの活用
LECM510 が生成する仕訳のロジックは、付属の Excel ファイル「リース連結修正仕訳一覧」に詳細にまとめられています。このファイルは、契約の種類やローカル処理方法に応じて必要となる連結修正仕訳を体系的に整理したものです。主なポイントは次のとおりです。
- シート構成 — ファイルには 2 つのシートがあり、ローカル帳簿で賃借処理している契約を連結上は売買処理(原則法)に修正する場合と、ローカル帳簿で利子込法の売買処理を行っている契約を連結上は原則法に修正する場合に分けて定義されています。
- 基本仕訳 — どの契約にも共通する基本的な仕訳として、①繰延税金の計上、②使用権資産とリース負債の計上、③使用権資産の減価償却の計上、④ローカルで計上した賃借料の取消し(リース負債の返済と支払利息計上)が示されています。これらの仕訳では、使用権資産、リース負債、前払金、支払利息、減価償却費などを借方・貸方に計上し、ローカル基準から IFRS 基準への置き換えを行います。
- 条件変更や前払への対応 — 契約条件の変更やリース料の改定が行われた場合の仕訳パターンも用意されています。例えば「1 ヶ月分前払かつ賃料変更」「複数月前払」「フリーレント期間付き」「特別期間(有償/無償)」といったシナリオごとに、前払金の取り崩しやリース負債への振替、割引率を考慮した支払利息の計上方法が異なります。複数月前払や多段階月額の場合は、各月の返済額と利息を区分して計上する仕訳が定義されています。
- 多段階月額・特別期間 — リース料が途中で増減する場合(ステップアップ・ステップダウン)や特別期間に無償/有償の月が設定されている場合は、リース負債返済額と支払利息を期間ごとに区分して計上する仕訳が含まれています。また、特別期間終了後の初月にはフリーレント分の支払利息相当額をまとめて返済するなど、特有の処理が必要となります。
- 短期・長期区分 — IFRS ではリース負債を流動・非流動に区分する必要があるため、リース負債のうち翌期に返済予定の部分を流動負債に振り替える仕訳(例:リース負債/Cr. リース負債(短期))が設定されています。支払利息の計上仕訳から派生する形で短期区分への振替を行います。
この Excel ファイルを参照することで、自社のリース契約がどのパターンに該当するかを確認し、連結修正仕訳の内容を事前に理解できます。仕訳パターンは今後の法令改正や運用変更に応じて更新される可能性があるため、定期的に最新版を入手して確認してください。
その他の機能と留意点
本ガイドで紹介した主要モジュール以外にも、会社マスタの登録や年度別情報の整合性チェックなど、適切な運用のために押さえておくべきポイントがあります。 * MACM110/120 会社マスタ — 勘定科目の登録や最低基準金額・短期最大月数の設定は会社マスタで行います。連結修正仕訳出力時に勘定科目の都度指定が不要となるよう、事前に登録しておくと便利です。 * 年度別情報の整合性 — 減価償却費の開始年月や終了年月と年度別情報の期間が一致していない場合、LECM410 や LECM510 でエラーとなります。登録内容に漏れがないか定期的に確認しましょう。 * 前払・特別期間・残価保証 — 複数月前払や特別期間(フリーレント等)、残価保証の設定がある契約では、自動計算や仕訳パターンが複雑になります。新規登録時に各項目を正しく設定し、条件変更や解約時にはガイドに沿って資産をコピー登録してください。
LECM520 連結注記情報出力
IFRS 第16号では、貸借対照表のオンバランス処理だけでなく、リースに関する注記情報の開示も求められます。LECM520 連結注記情報出力は、連結財務諸表に必要なリース関連注記を Excel 形式で自動生成する機能です。主な特徴は次のとおりです。
注記情報の内容
LECM520 で出力されるファイルには、注記に必要な情報がシート別にまとめられています。代表的なシート例を挙げます。
- 動態表(ロールフォワード) — 使用権資産およびリース負債の期首残高、当期増加額(新規計上・条件変更・フリーレント終了など)、当期減少額(償却費・返済額・解約など)、期末残高をリース資産カテゴリ別に集計します。減価償却累計額や前払金の増減も含まれ、期首から期末までの動きを一目で追跡できます。
- 残高分析表 — 各資産番号ごとに使用権資産残高、減価償却累計額、リース負債残高(流動部分・非流動部分)、前払金残高などを一覧表示します。ローカル基準と連結基準の金額を並記することで、連結仕訳後の残高と一致しているか確認できます。
- キャッシュフロー情報 — 当期のリース料支払総額、支払利息、短期リース料、低価値リース料、変動リース料など、キャッシュフロー計算書に必要な項目を集計します。実務ではここから営業活動・財務活動に分類して表示します。
- リース負債満期分析 — 割引前の将来リース支払額を満期別(1 年以内、1〜2 年、2〜3 年、3〜4 年、4〜5 年、5 年以降など)に区分して開示するための表です。会計基準で要求される「満期別の支払最低額」情報が自動計算されます。
- 平均残存期間・割引率 — 使用権資産やリース負債の加重平均残存リース期間と、割引計算に用いた加重平均割引率を算出します。財務諸表の注記では、これらの指標を記載して見積に関する判断を説明します。
- その他注記 — 残価保証の金額、行使が合理的に確実とみなされる延長・縮小オプションに係る将来キャッシュフロー、変動リース料や固定支払外のリース料など、IFRS 16 で開示が求められる項目を出力します。
出力と運用のポイント
- 期間の指定 — LECM520 画面では、会計年度と出力対象月を指定して実行します。期間首から指定月までの累計情報が出力されます。
- グループ勘定科目への変換 — 注記出力では、グループ勘定科目マスタに基づき、各取引がグループ科目に変換された状態で集計されます。事前に LECM220 で勘定科目カテゴリを正しく設定しておくことが重要です。
- 更新のタイミング — 基本情報や年度別情報に変更があった場合は、LECM110/120 で再計算を行った後に LECM520 を実行してください。条件変更や解約後に注記を更新しないと、期中の動きや残高が正しく反映されません。
- Excel ファイルの構成 — 出力された Excel には複数のシートが含まれます。各シートの名称は「動態表」「残高分析」「満期分析」「平均残存期間」「その他注記」などで、内容がわかりやすく分類されています。必要に応じて注記番号や項目名を修正し、自社の財務諸表の形式に合わせてご利用ください。
LECM520 を活用することで、IFRS 第16号に準拠した注記情報を効率的に作成できます。連結修正仕訳と組み合わせて、正確なリース関連の財務情報を開示しましょう。
まとめ
本ガイドでは、IFRS第16号に対応した multibook のリース資産管理機能について、主要モジュールの概要と操作手順を説明しました。LECM110 での資産登録・条件変更、LECM120 による一括更新、LECM220/230 でのマスター準備、LECM410 の台帳出力、LECM510 の連結修正仕訳生成などを活用することで、複雑なリース会計を効率よく処理できます。事前にマスターや割引率を設定し、各機能の自動計算やチェック機能を最大限に利用することで、IFRS第16号に準拠した財務報告や連結決算をスムーズに進めてください。