新リース会計基準に対応した multibook のリース資産管理機能の概要と基本的な操作方法を解説します。2027年4月1日以降に強制適用となる日本の新リース会計基準では、すべてのリースを原則オンバランス処理とするなど、従来とは大きく異なる会計処理が求められます。複雑な計算を手作業で行うのは困難なため、システム化による効率化が欠かせません。本ソリューションでは、リース契約登録から自動仕訳作成、帳票出力までを一貫してサポートします。
事前準備
利用開始前に、会社マスタで以下の設定を行う必要があります。これらの設定により、仕訳作成の対象期間や処理内容が自動制御されます。
- 適用区分の選択(修正遡及/完全遡及) – 新基準適用開始年月に応じて仕訳作成開始年月を設定します。修正遡及の場合は制度適用開始年月を、完全遡及の場合は最古の契約開始年月を指定します。
- オフバランス仕訳作成の有無 – 従来通り費用処理するリース資産について、仕訳を作成するか否かを設定します。ONにした場合はオフバランス仕訳開始年度・期の指定が必須です。一度ON→仕訳実行後にOFFとした場合、再度ONには戻せないため注意します。
- 前払仕訳作成の有無 – 前払契約となっているリース資産について、リース開始月の前月に「前払費用/預金」の仕訳を作成するかどうかを設定します。
- 流動区分振替頻度 – 短期負債への振替仕訳を生成する頻度を月次/四半期/半期/年次/なしから選択します。
- 短期・少額基準 – 短期リースとみなす最大月数、少額リースとみなす金額の閾値を設定します。条件に応じてオンバランス処理・オフバランス処理を自動判定します。
- 勘定科目の設定 – 仕訳作成に必要な勘定科目のうち、契約によらない勘定科目は会社マスタで設定し、契約に依存する勘定科目や税コードは LECM220 リース資産勘定カテゴリマスタ で設定します。
- 割引率の設定 – リース開始年月とリース期間に応じた割引率を登録しておくと、リース資産登録時に自動設定されます。
設定が完了すると、各種リース資産管理機能を利用できるようになります。
機能一覧
multibook のリース資産管理には、日本新リース会計基準に対応したさまざまな機能が用意されています。主な機能と概要は下表のとおりです。
機能ID |
機能名 |
主な用途 |
LECM110 |
リース資産 基本情報・年度別情報更新 |
リース資産の契約情報や年度別情報を 1 件ずつ登録・更新します |
LECM120 |
リース資産 基本情報・年度別情報 Excel Upload |
Excel ファイルから複数件のリース資産情報を一括登録し、年度別情報を自動更新します |
LECM210 |
リース資産情報確定 |
登録したリース契約の確定処理を行い、誤った変更を防止します |
LECM140 |
リース資産 月次自動仕訳作成 |
新リース会計基準に沿った会計仕訳(オンバランス・オフバランス)を自動計上します |
LECM150 |
リース資産 反対仕訳 |
LECM140 で作成した仕訳の反対仕訳を生成し、契約内容の変更や削除に対応します |
LECM160 |
リース資産 仕訳照会 |
LECM140 で作成した仕訳を検索・確認します |
LECM410 |
リース資産台帳 |
リース資産台帳を出力・表示します |
LECM420 |
リース契約償還票 |
リース契約償還票を出力します |
LECM520 |
リース資産注記情報 |
財務諸表用の注記情報を出力します |
LECM110 リース資産 基本情報・年度別情報更新
この機能は、リース契約を 1 件ずつ登録するための画面です。新しいリース契約を締結したら、まずここで基本情報と年度別情報を登録します。
1. メニューから LECM110 を選択
左側のナビゲーションメニューから 「リース資産」→「マスタ管理」→「LECM110 リース資産 基本情報・年度別情報更新」 をクリックします。メニューの位置は下図を参考にしてください。
2. 新規登録の開始
LECM110 画面が開いたら、画面上部の 「新規登録」ボタン を押してリース資産登録を開始します。以下のような入力フォームが表示されます。
3. 基本情報の入力
まずは契約を識別する基本情報を入力します。必須項目には赤い印が付いています。
- 会社 – 登録対象の会社を選択します。
- リース資産番号 – 20 桁以内でユニークな資産番号を設定します(必須)。
- 設置場所 – 資産を設置する場所を 100 桁以内で入力します(必須)。
- 契約番号 – 契約書番号などを 100 桁以内で入力します(必須)。
- 前払区分/前払期間(月) – 前払リース契約の場合にチェックし、前払期間を設定します。自動計算ボタンを押すと、前払区分が ON の場合は月額リース料×前払期間でイニシャルコストが自動計算されます。
4. 既存契約のコピー(任意)
過去に登録したリース資産をベースに新しい契約を作成したい場合は、コピー元のリース資産番号を指定して コピー ボタンを押します。以下の部分で設定します。
コピーでは資産カテゴリや設置場所、部門・セグメント、勘定科目などが引き継がれるため、同様の契約を複数登録する際に便利です。コピー後は必要に応じて内容を変更してください。
5. 契約条件の詳細設定
続いてリース期間や月額リース料などの詳細を入力します。以下の項目を順に設定します。
- リース開始日/終了予定日 – リース期間の開始と終了予定日を入力します。開始日と終了予定日から リース期間(月) が自動計算されます。
- 税コード – 税区分を選択します。
- リース期間(月) – 原則 1,200 か月以内で入力します。自動計算ボタンを押すと開始日と終了予定日から自動算出されます。最終月を期間に含めたい場合は終了予定日を月末に変更します。
- 多段階リース料 – リース期間中に月額リース料が変動する場合、開始年月ごとに月額リース料と税額を設定します。設定はボタンからポップアップを開き、期間ごとの金額を入力します。
- 特別期間(月) – 特別期間がある場合は月数を設定します。
- 特別期間月額リース料/税額 – 特別期間の月額リース料と税額を入力します(特別期間を設定した場合のみ必要)。
- 月額リース料/税額 – 月額リース料と税額を入力します。特別期間がない場合はこちらのみ入力します。
- リース料総額 – 月額リース料×リース期間(月)を自動計算します。
- 残価保証額、処分見込額 – 契約終了時の残価保証額や処分見込額を入力します。
- 償却開始年・月/終了年・月 – 償却の開始月と終了月を設定します。開始月はリース開始日と同じ年・月である必要があります。
- 解約・条件変更 – 中途解約や条件変更がある場合に選択します。解約等完了日を入力すると、解約仕訳や条件変更仕訳が自動作成されます。
入力が完了したら、画面上部の 「自動計算」ボタン を押して金額や期間を計算し、「更新」ボタン で登録します。内容を破棄したい場合は 「キャンセル」ボタン を使用します。
LECM120 リース資産 基本情報・年度別情報 Excel Upload
複数件のリース契約をまとめて登録する場合は、LECM120 を利用します。LECM110 と同じ入力画面で 1 件ずつ登録することも可能ですが、大量の契約を一度に取り込みたい場合は Excel Upload 機能が便利です。テンプレートに契約情報を記入してアップロードすると、基本情報・名称・年度別情報・多段階リース料が自動的に登録・更新されます。操作の流れは次のとおりです。
- Excel テンプレートの取得 – LECM120 画面にはダウンロード機能があり、登録済みのリース資産を一覧出力できます。編集用のファイルを作成する場合は必ず LECM120 からダウンロードしてください。LECM110 から出力したファイルには名称列が含まれるため、そのままアップロードするとフォーマットエラーとなります。
テンプレートへの記入 – リース資産番号、設置場所、契約開始日、リース期間(月)、月額リース料・税額、多段階リース料や特別期間等の詳細を各列に入力します。新規登録だけでなく、既存契約の更新や条件変更も可能です。条件変更を行う場合は「解約・条件変更」列に 7:条件変更 を設定し、元の契約には「解約等完了日/条件変更日」に新条件の開始年月を指定します。これにより、旧条件が自動的に終了し、新条件レコードが追加されます。- アップロードの実行 – 完成した Excel ファイルを選択してアップロードします。LECM120 では LECM110 と同様の自動計算・エラーチェックに加え、同一資産番号に対して複数バージョン(Original、Update01、Update02 など)のレコードが混在していないかをチェックします。同じ資産に対して複数の更新レコードを含めるとエラーとなるため、必要なレコードを1件だけ残してアップロードしてください。
年度別情報の自動生成 – アップロード時に「年度別情報自動設定」を選択すると、入力された基本情報から年・月ごとの支払利息、リース負債返済額、減価償却費が自動計算されます。支払利息は前月末のリース負債残高に年利率/12 を乗じて四捨五入し、リース負債返済額は月額リース料から支払利息を差し引いて算出します。減価償却費は使用権資産当初計上額をリース期間で按分して求め、最終月に調整が入る場合があります。個別の資産のみ計算するか、未設定分すべてを計算するかを選択できます。
登録内容の確認 – アップロード後に表示される確認画面で、取り込み対象の資産やエラー内容を確認して 登録 を実行します。完了すると LECM110 と同様に基本情報と年度別情報が生成されます。多段階リース料や特別期間がある場合はテンプレートの該当列に開始年月・月額・税額を設定しておけば、そのまま年度別情報に反映されます。
補足
- ダウンロードとアップロードの使い分け:既存のリース資産を修正する際は、LECM120 のダウンロード機能でフォーマットを取得し、そのまま修正・アップロードします。LECM110 からのダウンロードファイルは名称が含まれておりアップロードに適さないため注意してください。
- 条件変更レコード:解約や条件変更を伴う場合は、旧条件レコードで 7:条件変更 を指定し、解約等完了日・条件変更日に新しい開始日を入力すると、旧レコードが自動で終了し、新レコードが追加されます。
- エラーチェック追加:LECM120 では、同一リース資産に対して複数のレコードを含めないこと、登録種別と更新種別の組み合わせが正しいことなど、アップロード専用のチェックが実施されます。エラー内容は一覧で表示されるため、修正して再アップロードしてください。
LECM210 リース資産情報確定
LECM110 や LECM120 で新規登録・更新したリース契約は、そのままでは再編集が可能な状態です。仕訳を生成する前に確定処理を行うことで、誤った変更や二重登録を防ぎます。確定した契約は基本情報・年度別情報がロックされるため、以後の変更は原則禁止となります。修正が必要な場合は、既存仕訳を反対仕訳で取り消し、再登録する運用となります。
画面上では、ナビゲーションメニューから 「リース資産」→「帳票」→「LECM210 リース資産情報確定」 を選択して機能を呼び出します。下図のように、赤枠で囲ったメニュー位置を参考にしてください。
確定操作の手順は次の通りです。
- LECM210 画面を開き、会社コードやリース資産番号などの検索条件を入力して確定対象を絞り込みます。未確定の契約のみ抽出するチェックボックスも利用できます。
- 検索結果から確定したい資産を選び、画面上部の 「確定」ボタン をクリックします。確認ダイアログが表示されるので内容を確認して実行します。
- 確定処理が完了するとステータスが「確定済み」に変わり、LECM110・LECM120 からの編集や削除ができなくなります。もし契約条件の変更や解約が判明した場合は、まず LECM150 で反対仕訳を作成し、LECM110 または LECM120 で新たな条件の契約を登録してください。
下図は LECM210 の画面例です。画面左側に検索条件を入力し、右側の一覧から対象資産をチェックして上部の 「確定」ボタン を押します。確定解除も同じ画面で行えます。
LECM140 リース資産 月次自動仕訳作成
この機能は、日本新リース会計基準に従って必要な仕訳を multibook 会計に自動記帳します。オンバランス・オフバランスの別や、前払・フリーレント・特別期間・多段階リース料などさまざまな契約形態に対応し、月次や開始時、終了時、条件変更時の仕訳を包括的に生成します。仕訳番号は L2110 のように頭文字と 4 桁の数字で構成され、資産区分(第 1 桁)、計上タイミング(第 2 桁)、連番(第 3・4 桁)から成ります。例えば、L2110 はオンバランスのリース開始時仕訳を表します。
下図は LECM140 の画面例です。記帳する年度と期を設定し、実行・再実行・シミュレートのモードを選択します。シミュレートを選ぶと仕訳転記を行わずに Excel 出力のみ行われます。
実行モード、再実行モード、シミュレート
LECM140 には 3 つのモードがあります。通常は 実行モード を利用し、システムが提案する当月の仕訳を記帳します。新規登録した契約の開始日が過去の月である場合でも、実行モードで当月を選ぶと、登録漏れ月まで遡って必要な仕訳がまとめて作成されます。
再実行モード は、当月の記帳を完了した後に契約を追加した場合など、直前月の仕訳をやり直す際に使用します。再実行を選択すると対象年月が 1 期戻るため、前月の仕訳を再作成して新規追加契約分を含めることができます。
シミュレート モードは仕訳の転記を行わず、今月どのような仕訳が計上されるかを Excel に出力して確認するための機能です。実際に伝票を計上する前に金額や勘定科目をチェックしたい場合に利用します。
実行手順
- LECM140 画面で記帳対象の 開始年度・期 と 終了年度・期 を指定します。期間は会社マスタの「仕訳作成使用開始年月」以降で指定でき、初期値として次の未実行月が自動表示されます。
- オンバランス仕訳・オフバランス仕訳の作成可否や、前払仕訳作成有無、流動区分振替仕訳の作成頻度を設定します。これらの設定は会社マスタの初期値が反映されますが、必要に応じてこの画面で変更可能です。
- モード(実行/再実行/シミュレート)を選択し、実行 ボタンをクリックします。シミュレートを選択した場合は Excel ファイルが出力され、実行・再実行を選択した場合は multibook 会計に仕訳伝票が自動生成されます。
- 作成された仕訳は LECM160 で確認できます。伝票番号や仕訳種別ごとの内容を確認し、必要に応じて会計システムへ連携します。
注意:契約内容を変更した場合や中途解約を行う場合、既に作成済みの仕訳に影響が及びます。変更前の仕訳を取り消すためには LECM150 で反対仕訳を作成してから再度 LECM140 を実行してください。また、会計システム側で月次締め処理を行っている場合、遡及仕訳が記帳できるよう締め解除を行っておく必要があります。
LECM150 リース資産 反対仕訳
LECM140 で記帳した仕訳を取り消す際に使用します。リース資産の基本情報や勘定科目を変更した場合、その変更が既に作成済みの仕訳に影響する可能性があります。例えば、割引率やリース期間、月額リース料、税コード、勘定科目、部門・セグメントなどを変更する場合や、契約条件の変更・中途解約に伴って新しい契約を登録する場合は、まず LECM150 で過去の仕訳を反対仕訳によって取り消す必要があります。
反対仕訳を作成する際は、会社・対象期間・リース資産番号を指定し、実行するとシステムが元の仕訳と同額・逆仕訳を自動生成します。反対仕訳を行わずに契約情報を変更すると、既存仕訳と矛盾が生じるためご注意ください。反対仕訳後は LECM110 や LECM120 で必要な修正を行い、その後に LECM140 で再度仕訳を作成します。
なお、資産名称や設置場所など金額に影響しない項目は反対仕訳不要で修正可能です。反対仕訳が必要な項目かどうか迷った場合は、会計担当者またはマニュアルの「仕訳影響項目一覧」を確認してください。
下図は LECM150 の画面例です。検索条件で対象のリース資産を指定し、「反対仕訳」ボタンを押すと、元の仕訳と同額・逆仕訳が自動的に作成されます。会社マスタでは残高更新方法やマイナス計上時の反対仕訳作成方法のデフォルトを設定できます。
LECM160 リース資産 仕訳照会
自動作成された仕訳伝票を検索・確認するための機能です。会社コード、会計期間、リース資産番号、仕訳種別(オンバランス/オフバランス/前払等)や仕訳番号など複数の条件で絞り込み、作成済み仕訳の内容を一覧表示します。検索結果では伝票日付・仕訳番号・借方科目・貸方科目・金額等の明細を確認でき、残高の推移や仕訳種別ごとの合計金額も確認できます。
照会画面からは、選択した仕訳の明細を Excel に出力することも可能です。会計システムへの連携前に内容を確認し、金額や勘定科目に問題がないかをチェックしてください。LECM160 は照会専用であり、仕訳の訂正や削除はできません。訂正が必要な場合は LECM150 で反対仕訳を作成し、LECM140 で再度仕訳を作成してください。
LECM410 リース資産台帳
登録済みのリース資産の台帳を出力する機能です。出力対象として会社コードやリース資産番号、契約開始日範囲、カテゴリなどを指定し、資産ごとの基本情報や月額リース料、残価保証額、リース負債残高、償却状況などを一覧形式で取得します。台帳は Excel 形式でダウンロードでき、監査用資料や社内管理資料として利用できます。
以下はメニュー画面の例です。左のナビゲーションから 「リース資産」→「帳票」→「LECM410 リース資産台帳」 を選択します。
台帳画面では、会社コード・資産番号・期間などを指定して検索し、画面上でリース資産台帳を確認できます。行数が多い場合や Excel に出力したい場合は、ファイル出力ボタンまたはバックグラウンド実行ボタンを利用します。
出力ファイルには、使用権資産やリース負債の増減・残高情報が一覧されます。減価償却費の設定に誤りがあるとエラーが表示されるため、年度別情報の期間と金額を確認してください。
対象資産が多い場合はバックグラウンド実行が可能です。複数の資産を指定して出力すると、各資産ごとに 1 ファイル(1 シート)の台帳が生成され、Zip 形式でまとめてダウンロードされます。条件変更前と後の資産を同時に指定した場合は、オリジナル(旧条件)の資産のみ出力対象となるためご注意ください。出力ファイルには資産番号・名称などが記載されているので、そのまま監査資料として提出できます。
LECM420 リース契約償還票
リース契約ごとの償還予定表(支払スケジュール)を出力する機能です。出力条件として会社コードやリース資産番号、出力対象期間などを設定し、各資産の月別返済額・利息相当額・リース負債残高推移を一覧形式で取得します。年度別情報に設定された減価償却費が償還票に反映されるため、年度別情報が正しく設定されていない場合はエラーとなります。
まず、ナビゲーションから LECM420 を選択して償還票画面を開きます。メニューの位置は次の図の赤枠を参考にしてください。
実行画面では会社コードやリース資産番号、部門や使用権資産遊休ステータスなどの条件を入力して検索します。検索後、画面上の一覧で償還情報を確認でき、Excel ファイルに出力する場合は 「ファイル出力」 ボタンまたは 「バックグラウンド実行」 ボタンを使用します。
償還票を画面表示すると、各月のリース料、減価償却費、支払利息計上額、リース負債返済額、使用権資産・リース負債の増減・残高が確認できます。条件変更レコードが登録されている場合は、新条件開始月から(前払の場合は開始月の 1 か月前から)新条件の情報が表示されます。
ファイル出力時は複数資産を指定して出力でき、1 資産につき 1 ファイルの償還票が作成されます。資産が多い場合はバックグラウンド処理を利用し、Zip 形式でまとめてダウンロードすることができます。条件変更前後の資産が混在している場合はオリジナルのみ出力されます。
出力された償還票では、年度別情報に設定した減価償却費がきちんと反映されているかを確認します。減価償却費が設定されていない月がある場合や、減価償却費期間外に金額が設定されている場合はエラーとなりますので、再度年度別情報を見直してください。
償還票も複数資産をまとめて出力でき、バックグラウンド処理を利用すれば大量の資産でも待たずに取得できます。複数の資産を指定した場合は、資産ごとに 1 つの Excel ファイルを作成し、Zip ファイルとしてダウンロードします。ただし、条件変更前後の資産が混在している場合は旧条件の資産のみ出力されます。資金計画や開示資料作成の際には、償還票により年間の支払額と利息負担を正確に把握できます。
LECM520 リース資産注記情報
財務諸表に記載する注記情報を出力する機能です。新リース会計基準では、リース負債や使用権資産に関するさまざまな注記が求められます。LECM520 では以下のような情報を自動集計して Excel 形式で出力します。
- 使用権資産の原価・減価償却累計額の内訳 – 勘定科目ごとに期首残高と期末残高を表示し、調整表を用いた増減の分析を行います。
- リース負債残高と期間別内訳 – 期首・期末時点のリース負債の残高を短期/長期別に集計し、返済予定額の満期別スケジュールを提示します。
- 平均残存期間・平均割引率 – リース負債全体の加重平均残存期間や加重平均割引率を算出し、注記に記載すべき情報として出力します。
- その他の開示情報 – 契約解除オプションの利用状況、残価保証額と処分見込額の差額に関する評価差損、短期リースや低額リースの金額など、基準で求められる注記項目を網羅します。
出力ファイルは注記項目ごとにシート分けされ、合計欄と勘定科目別欄の両方が用意されています。決算書作成時はこの資料をもとに注記に転記するだけで済むため、工数削減に役立ちます。年度別情報を更新した後は、忘れずに LECM520 を実行して最新の注記情報を取得してください。
操作上の注意点
- 設定変更の反映範囲 – 会社マスタで設定した内容は、仕訳作成の範囲や処理方法に影響します。運用開始後に設定を変更する場合は影響範囲を確認し、必要であれば反対仕訳を作成してから再処理してください。
- 自動計算ボタンの使用 – LECM110 で自動計算ボタンを押すと入力済みの期間や金額が再計算されます。手動で調整した値が上書きされるため、再計算する必要がない場合は押さないようにしてください。
- オフバランス仕訳設定 – オフバランス仕訳作成を ON にして仕訳を実行後、次月以降で OFF に戻すとオフバランス仕訳は作成されなくなります。一度 OFF にした設定は元に戻せない点に注意してください。
- 契約変更・中途解約 – 契約内容を変更したり中途解約する場合は、旧条件の契約に対して反対仕訳を作成し、新しい条件の契約を新規登録する手順となります。条件変更日を入力すると新旧条件の切替仕訳が自動生成されます。
まとめ
multibook の日本新リース会計基準対応ソリューションを利用すると、リース契約の登録から自動仕訳作成、台帳出力や注記情報作成までを一貫して処理できます。事前に会社マスタで必要な設定を行い、各機能を適切に組み合わせることで、新リース基準に対応した会計処理を効率的に実現できます。本ガイドを参考に、システムの操作方法と運用上のポイントを押さえ、業務にお役立てください。